2017年2月13日月曜日

狂気は日常の中で作られる「ヒメアノ~ル」

ガラス戸に付いた汚れをヘラで落として、清掃員の男性(岡田)が建物の中へ入ります。
清掃員の別の男性(安藤)に声をかけられ、岡田が自分の足元を見ると汚れた靴で床が汚れていました。
上司に注意された後、2人はまた作業に戻ります。
さっきの事を謝りながら岡田が安藤に趣味はあるか彼女はいるかを聞きます。
安藤が趣味もなく彼女もいないと答え、逆に岡田に休みの日は何をしているのかと聞きます。
趣味もなく彼女もなくただダラダラしてそれを不安に思ったりしていると話す岡田に、安藤は「人はみな不満がある、それが普通だ」と話します。
岡田がじゃあ自分と同じかと聞くと、安藤は「全然違う。恋をしている。」と言います。


安藤の恋の相手を見るために2人は片思いの彼女(ユカ)が働いているカフェに行きます。
その彼女が美人で若かったから岡田が無理だと言うが、安藤が彼女が生きる希望だと言うので考えを改めます。
外の席にいる金髪の男性(森田)を安藤が「あの男また来ている。俺の天使ちゃんをジロジロ見て。」と言うので岡田もそっちを見ます。
すると岡田の知り合いだったので、安藤に偵察してくるように言われて声をかけに行きます。
森田に声をかけると、森田も岡田に気付いたようでした。
向かいの席に座ってよくこの店に来るのかと聞きますが、誰かと間違えているんじゃないかと言われます。 岡田が森田と連絡先を交換する時にふと店内を見ると、ユカが不安げな顔でこちらを見ていました。


店を出てから安藤が自分は顔が割れているから岡田にユカについて調べて欲しいと頼みます。
次の日の夜、岡田が安藤に電話で「やっぱり無理」と断ります。
電話を切るとちょうど店からユカが出てきて岡田に気付き、「昨日店に来てましたよね」と声をかけてきました。
金髪の人に頼まれて来たのかと聞かれ、森田とは数年ぶりに会って深い仲ではないと話します。
一ヶ月くらい前から森田が現れるようになり、ストーカーされているので止めさせてくれないかと言われます。
岡田が彼氏がいるかと聞くと、ユカはいないと答えます。


翌日、安藤に報告すると「あの金髪野郎に電話したのか?」と怒り心頭です。
「なんて言うんですか!?森田くんストーカーしてるんだって?止めたほうがいいよって!?」と言う岡田に、「そう言えばいいだろう」と安藤が答えます。
彼氏いないと言ってた事も教えました。
また2人で店に行きユカに森田は来てないかを聞き、電話してるけど出ない事を伝え連絡先を渡しました。


その頃森田は公園のベンチでタバコを吸っていました。
路上喫煙防止と書かれたベストを着た清掃員にタバコについて言われ「もう吸ってないんで」だけで押し通します。
清掃員が立ち去ると同時に、待ち合わせしていた岡田が来ました。
2人で居酒屋に行き、岡田はもしかして森田がユカに気があるんじゃないかと探りを入れます。
森田が「あの先輩いつも気持ち悪いと思ってたんだ」と言ったので、岡田が「いつも?」と突っ込みますがごまかされます。
この間安藤と話した事を森田に話しますが、森田は「俺もお前も人生終わってんだ。何も持ってないやつが底辺から抜け出せる訳ない」と語ります。
岡田が否定しますが森田は意見を変えません。


翌日、車内で岡田が安藤にその事を報告すると、安藤はそろそろユカを飲みに誘おうと思ってると話します。
岡田はまだ早いんじゃないかと言いますが、またライバルが出るかもと安藤は譲りません。

森田はパチンコから出て電話をしていました。
ホテルの従業員の男性(和草)が電話に出ると「今月分まだ入ってないんだけど」と言われ、「すぐ入金する」と答えました。
その晩、和草は彼女にお金をどうにかあと50万出してくれないかと頼んでいました。
彼女は「なんであの森田って人にお金を払わないといけないの?親の会社と言っても犯罪だ。こんなんじゃ結婚出来ない。」と言います。


別の日、また安藤と岡田はユカの店にいました。
そこへユカが「もう大丈夫だと思うから毎日来てくれなくていい」と言います。
僕たちはここのドーナツが好きで来ているだけだと言い、その流れで少し強引ではあるけど安藤が「日本酒も好きだ」と言ってユカに日本酒はどうか聞きます。
ユカが「日本酒はあんまり」と言ったのに、「近々日本酒でもどうか」と言ってしまって慌てて「ディズニーランドでも」と言い換えます。
ユカが岡田を見て「日本酒ってみんなでですか?」と言い、ユカとユカの友達と岡田と安藤で行く事になりました。
ユカの友達なら可愛いだろうと話しながら帰った2人でしたが、当日に来たユカの友達(アイ)は太っていて可愛くありませんでした。
しかもアイは「今日あまり時間ないんだよね。アメトークの録画予約し忘れちゃって」と不機嫌そうです。
4人で居酒屋に行くとアイが「岡田くんって元カレに似てる」と話し勝手に盛り上がります。
夢があるかの話題になりアイは「岡田くんっていかにも夢がなさそう」と言い、岡田が「今日会ったばかりなのに」と反論しますが全く動じません。
あげくにアイは「安藤さんってユカの事好きですか?」と聞き、ユカが「ストーカーから守ってくれてるだけだ」と言うのを無視して「無理ですよ。ユカって今好きな人いるし。」と爆弾発言をしてしまいます。
さすがにユカが怒ってアイに注意して、アイは肩をすくめて舌を出しました。

次の日、安藤は岡田に自分は本当に無理なのか聞いて欲しいと頼みます。
岡田は夜にユカが店から出てくるのを待ち伏せしてユカに「安藤さん死ぬほど好きらしいけどダメか」を聞きます。
何度聞いてもユカの答えが変わらないので、岡田が立ち去ろうとするとユカに呼び止められます。
ユカが好きな人は実は岡田だと告白します。
会ったばかりなのになぜかを聞くと一目惚れだと言います。
ドッキリでカメラでもあるのではないかと岡田が後ろを振り向くと物陰から安藤が覗いていました。
「これは何かの間違いだ」と岡田が言うとユカが「間違い!?」とパニックになるし、違うと言うと安藤が叫んでパニックになるし岡田が2人の間でオロオロしている間に2人共走り去ってしまいました。


後日、岡田が1人で仕事をしていると社長が来て「安藤が1週間無断欠勤しているが知っているか?」と聞かれ、知らないと答えますが社長が去り際に「そろそろ首だな」とつぶやくのを見た岡田は安藤の家に行ってみる事にしました。
チャイムを鳴らすと安藤が出てきて中に入れてくれました。
「もう大丈夫。岡田くんは大親友だもの。大親友が運命の人を奪ったりするはずないもの。もし、そんな酷い事をされたらチェーンソーでバラバラにしてトイレに流しちゃうかも。」と安藤が言うので、「ちょうどお断りの電話をしようとしてた」と言いながら岡田がふと部屋の隅を見るとチェーンソーが置いてありました。


喫茶店で岡田はユカにその話をしました。
ユカがバレなければ問題ないと言い出し、岡田もそれに同意して付き合うことに決まりました。


その頃、ホテルで和草が金庫からお金を出そうとしていました。
彼女が部屋に入ってきて、「この間ので最後だって言ってたのに。ちゃんと理由を話して。」と言われて和草も覚悟を決めて話し始めました。
和草と森田は高校の頃にずっといじめられていました。
特に川島っていう奴に酷くやられていて、親にも何度も高校を辞めたいと言ったのに辞めさせてもらえませんでした。
毎日感情を殺して耐えて耐えて卒業式の日がきました。
森田に「川島を捕まえた。一緒に殺そう。」と言われ、林に行くと川島が手足を縛られて口にはテープを貼られていました。
森田がバットで川島を殴りながら「一緒に殺そうよ。一緒に殺そうと言ってたじゃん。」と誘います。
バットを差し出され体中を何十発も殴りました。
最後に森田が首を絞めて川島を殺して埋めました。
その日から森田は変わってしまい、親にも暴力をふるうようになり金をたかるようになりました。


別の日、安藤が仕事に来ていました。 「俺にはユカちゃんしかいない。岡田に振られて寂しがっているからチャンスかもしれない。」と安藤が岡田に話します。
仕事の後、岡田はユカとの待ち合わせ場所に行き、2人でもんじゃ焼き屋に行きました。
ユカは「付き合ってるって感じだね。」と喜び、「これからいろんな事したいな」とはしゃぎます。
岡田がどういう枠組みか聞くとユカが「遊園地とか」と言います。
「もしかしてえっちなのだと思った?」とユカに聞かれ、岡田は「そういうのは枠組み外かな」としどろもどろになりますがユカは「私は枠組みに入ってるよ」と言います。
帰り道並んで歩いているとユカに袖を引っ張られます。
岡田は自動販売機でゴムを買い、2人で岡田の部屋に行きます。
岡田が落ち着きなくテレビを見ていると、ユカがキスしてきたので岡田もキスをします。
胸を触るとうつむいたので一旦は止めますが、今度はユカから岡田の手を自分の胸に持っていきます。
ベッドに移動しますが岡田がきこちなかったので、ユカが初めてかと聞き嬉しそうに抱きつきます。
幸せそうな2人の部屋の外には、部屋を見上げる森田がいました。


森田は歩いて自分の家に帰ります。
部屋につくと和草に電話して「殺したいやつがいる。」と話します。
和草は断りますが川島の名前を出して脅します。

岡田とユカはベッドで2人で横になり幸せそうにしていました。
「こういう事を何人としたのか」と岡田に聞かれたので、ユカは言うのを渋っていましたが10人と答えました。
その後も初体験の年齢を聞かれたので、答えますが岡田の反応を見て言わなければ良かったとユカは後悔します。


その頃、和草は彼女を助手席に乗せて車で警察署に向かっていました。
「他に良い奴探してくれ。」と言って、自首しようとする和草を彼女が引き止めます。
「あいつを殺そう。悪いのは森田だ。普通の生活を取り戻そう。」と言われて泣きながら抱き合います。
再び車を走らせます。
部屋で弁当を食べてた森田の所へ和草が来て、いきなり殴りつけました。
押さえつけて彼女にロープを出せと叫びますが、彼女がもたもたしていたせいで森田が落ちていたペンを拾って和草の頬に刺しました。
和草が自分の上から退いたらすぐにバットで殴りつけ、和草は倒れて痙攣しました。
それを見ていた彼女も逃げ遅れ殴られました。
四つん這いになっている所を何度も殴りつけ、倒れた彼女に灯油をかけ部屋に火を放ちました。


後日、ユカの店で岡田と安藤が食事をしているのを、店の外から森田も見ていました。
ラーメン屋で森田が食べていると、森田のアパートが燃えて死体が見つかったとテレビのニュースで話しています。
駅の外で森田が苛立ち看板を殴っていると、通りかかった電話中の女性が「危ない人がいるんだけど。」と話します。
「何?」と森田が声をかけると、「話しかけられた」と言いながら立ち去ります。
女性がアパートに着きドアを開け中に入ると、後ろから森田が入ってきて襲われます。


翌日、そのアパートの部屋は外からビニールシートで隠されていました。
森田がパチンコで勝って機嫌よく帰ろうとしていると、男性2人に絡まれます。
森田がカッターナイフを見せますが、蹴られてボコボコにされます。
ユカの部屋に行ってドアを何度も蹴りますが、隣の部屋の人が出てきて注意されたので帰ります。
ネットカフェで森田が眠っている時に、高校の時にいじめられていた夢を見ました。


朝になってユカが部屋に帰ると、隣の人がゴミを出しに行く所で「危ない人が来ていた」と注意されました。
職場では安藤が岡田に告白しようと思っている話をします。
岡田が耐えきれなくなって、ユカと付き合っている事を告白します。
絶交だと叫ぶ安藤を岡田がなだめます。
ユカと会った時にその事と、森田がアパートに来ていて危ないから当分岡田の部屋に来るように放します。


男性が家に帰ってリビングに行くと、森田がカレーを食べていました。
誰だか分からず困惑していましたが、物陰に暴行されて死んでいる妻を見つけて玄関に走ります。
しかし、後ろから追ってきた森田に刺されて息絶え、森田は食事を続けます。


職場では安藤が上司に注意されていました。
左右に角のように尖らせた髪型にしてきていたからです。


森田がいる家の窓に警官が来て、玄関を開けるように話しかけます。
台所から包丁一本を出してズボンの後ろに隠して、玄関を開けに行きます。
その間警察は庭にある真新しい土を掘って何かを埋めた跡を見ています。
玄関を開けると「井上さんと連絡が取れないと通報があった」と警察が言うので、森田は自分は弟で井上さんは入院していると嘘を言います。
病院の名前を聞かれますが、分からないと言います。
中を見せてと言うので警察を家に入れます。
庭の埋めた跡は何か後で掘り起こしていいかと話しながら、家の様子を見ていてビニール袋に入った血がついた物を見つけます。
しかし、気付いた時にはもう遅く、森田に包丁で襲われ絶命します。
警察から拳銃を奪い、森田はユカの店に行きます。
店にユカがいないので他の店員に聞くと辞めたと言われます。
ユカの家に行きドアを蹴っていると、隣の部屋から出てきた男性に注意されます。
拳銃で撃って脅して男性の部屋に入り、窓から隣のユカの部屋を見ますが引っ越した後でした。
男性にユカはどこに引っ越したのか聞きますが、当然知らないので撃ち殺します。


岡田の部屋を森田が外から見ていると、安藤が来て「まだストーカーしているんじゃないだろうね」と言いながら付いてきます。
岡田の住所を聞きますが安藤が答えないので、拳銃を出して突きつけます。
モデルガンだろうとファイティングポーズする安藤の股間を撃ちます。
四つん這いに倒れた背中にもう一発撃ちます。


安藤が運ばれた病院に岡田とユカが駆けつけます。
自分のせいだと岡田が「本当は高校入ってすぐの頃森田と仲が良かった」と打ち明けます。
森田が川島にいじめられるようになって距離を置くようになり、森田は登校拒否をしました。
川島に「いじめる相手がいないとつまらない。森田を連れてこい」と言われて、岡田は「川島が謝りたがっている」と嘘までついて学校に連れて行きました。
そこで川島に命令されて下半身を露出している森田を、川島に笑えと言われて岡田も一緒に笑いました。
その時の絶望したような目が忘れられないのだと話しました。
安藤が目を覚ましたので岡田が「自分のせいでごめん」と言うと、安藤が「絶交なんて言ってごめん。親友だよね」と言ったので仲直りしました。
病院を出た帰り道で岡田は泣きました。


その頃森田は弾が無くなった拳銃を海に投げ捨てていました。
ユカが部屋に帰って買い物した物を閉まっていると、どこからか風が吹いているのに気付きました。
風が吹く方向を見ると窓に穴が開けられていました。
部屋の奥に森田がいるのを発見して、玄関のドアに急ぎますが間に合わずに森田に捕まってしまいます。


帰宅中の岡田に母親から電話がありました。
「ニュースでしている犯人同級生なんだってね。なんか説明会があるみたいで同級生から電話があったから住所を教えといたよ。」と母親が言いますがそんな名前の同級生はいません。
胸騒ぎがして電話を切ってすぐにユカに掛け直します。
ユカに着信が鳴り続けますが、ユカは襲われている最中でした。
110番して部屋に行き森田に掴みかかります。
森田に包丁を突きつけられますが、パトカーのサイレンに気をとられた一瞬の隙に岡田が森田に体当りして窓から飛び降ります。
2人の元へ警察が来ますが、岡田に包丁を突きつけながら近くにあった車を奪って逃走します。
岡田が再度森田に「こんな事止めよう。森田くんは昔は優しかった」と呼びかけます。
「うるせーな」と後ろの席の岡田に包丁を突き立ててよそ見したので、車が電柱に突っ込んでしまいました。
運転席でぐったりしていた森田を見ていると、森田が岡田を振り返り「岡田くん来てたんだ」と言います。
岡田が驚いていると「借りていたゲームを返すね。お母さん麦茶持ってきてー」とまるで仲が良かった頃に戻ったように森田が話し続けます。
追いついた警官に引きずりだされた森田は片足が事故の怪我で今にも千切れそうになっていました。


高校の頃に岡田と森田が話した会話が思い出されます。
森田の家でゲームを一緒にして遊んでいます。
森田が振り返り母親に麦茶を持ってきてと言います。



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森田の気持ちを考えて悲しくなった。
いじめられたからって殺したり傷つけたりしていい訳では勿論無いけど。
高校時代に岡田といた時のように森田が生きていて楽しかった事もあったのに、どうしてこうなってしまったのか。
岡田が嘘をつかなければ、川島と一緒になって笑わなければ違ったのだろうか。
和草が一緒に逃げていたら、川島を殺した後に自首していたら…。
そんな、誰にでもある「あの時ああしていたら違ったのだろうか」という思いで苦しくなる。
誰かを助けることは時にとても勇気がいるし、自分が人に何か出来る事なんてほんの小さな事かもしれない。
でも、そのほんの小さな事で、手を差し伸べる事で変わる未来があるなら出来る限り差し伸べたい。

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