2017年7月18日火曜日

少年にあるのは田園の緑と音楽だけ「リリイ・シュシュのすべて」

「彼女が生まれたのは1980年12月8日22時50分。彼女の名前はリリイ・シュシュ。
天才。というより宇宙。エーテルの具現者。」と投稿者フィリオは書き込みをします。
他の人からもリリイ・シュシュを褒め称える書き込みが沢山書かれます。


田んぼの隣の道を自転車で少年が走っています。
少年はヘッドホンで音楽を聞いています。

場面が変わって電車に乗った少年3人が正面の椅子で寝ている老人のカバンを盗みます。
河原でカバンの中身を見ると登記簿などだったのでその場で燃やしました。
レコード店で万引きして他の店に売りに行きました。
雄一はそこにあったリリイ・シュシュの看板を貰って、背中に担いで自転車で帰りました。
途中で自転車から降ろしてペットボトルの飲み物を飲みながら看板を眺めます。

美容室で高速バス乗っ取りのニュースを見ながら、「最近の子は何を考えているか分からない」と話し合っています。
家でさっきの美容師の女性が家族4人で食事をしています。
雄一は食事をしていますが伸一はゲームに夢中です。
父親が「雄一君に伸一か、両方長男だからな。伸一お前伸二になれ。雄一君だって名字が変わるんだから。」と伸一に話しかけます。
伸一はゲーム画面から目を話さずに「嫌だよ」と言います。


雄一はリリイ・シュシュについての掲示板リリフォリアの管理人をしています。
この日は青猫から「こんな掲示板があるのを知らなかった」という書き込みがありました。
雄一は青猫にフィリアというHNで返事を書きました。


母親が伸一にスイカを切って持っていくと、伸一は寝ていました。
ニュースでは高速バス乗っ取りの話がしていて、まだ捕まっていないのかと父親と話します。


リリイ・シュシュの新曲が出てから、掲示板には沢山の感想が書き込まれました。
雄一はレコード店で新曲のCDを万引きしようとしましたが、店員に捕まって先生を呼び出されました。
先生はCDを買い取り雄一と電車で帰りました。
電車の中で一緒にCDを聞きました。


別の日、学校で雄一は恩田先生に声をかけられ連れて行かれました。
部屋に入ると母親が来ていて、母親が妊娠してお腹が大きかったので恩田は学校へ呼び出したことに気を使いました。
万引きしたのを聞かされた母親は雄一を叩き始めました。
恩田が母親をなだめて、その日は母親と帰りのバスに乗りました。
バスを降りてから雄一が乗る自転車の後ろに母親を乗せて帰りました。


夜に雄一は友達5人に廃車置場へ呼び出されました。
その5人には修介もいました。
学校にチクっただろうと言われて友達にリンチされ、持っていたリリイ・シュシュのCDも割られました。
自慰を強要され友達5人のうち3人は帰り、残りの2人に残って最後までするのを見張っているように言いました。
「もういい。見たくないから帰れよ。」と2人は雄一を止めましたが雄一は止めませんでした。

一年前、雄一はまだリリイ・シュシュを知りませんでした。
中学の入学式では星野修介が挨拶をしました。
今が灰色だとするとその時はバラ色でしたとフィリアは書いています。
雄一と修介は剣道部に入りました。
剣道部に入った女子3人は池田先輩が好きなようで大声で応援したり大はしゃぎしていました。
修一が女子達にその事を注意すると「頭がいいのを鼻にかけてんじゃねーよ。答辞呼んだからってスター気取りかよ」と文句を言われました。
隣にいた雄一が修介を慰め、先輩と3人で一緒にラーメン屋に行きました。
小学校で可愛いと思ってた子がこっちに来たら全然で井の中の蛙だった、剣道もそういう所があると話しました。
先輩が奢ってくれたので、先輩がいなくなってから雄一と修介は「良い人だね」と言いました。

修介の家に雄一は遊びに行きました。
修介と母親に泊まっていくように勧められそうする事にしました。
綺麗で優しい母親と広い家、雄一は羨ましがります。
しかし、修介は成績学年トップと言われていますが、実際には7番で「きっと一番の奴に嘘つきと思われてる」と暗い顔をします。
もう寝ようと並べた布団に入ろうとして、壁に貼られたポスターに気付いた雄一はそれが何かを修介に聞きます。
そのポスターがリリイ・シュシュでした。


みんなで野球を見に行きました。
帰りに雨が降ったのでバスから降りて駅までみんなで走りました。
駅でふざけあっていると、修介が友達に押されて女の子にぶつかります。
他の人が「今の子可愛くなかった?」と騒ぎ出すと、修介が1組の久野だと言います。
「久野さーん」と呼んでみたりからかって喜んでいると、駅にいた他の中学の男子集団が修介に気付いて騒ぎ始めます。 修介に缶をぶつけたり文句を言ったりするのにキレた同級生が啖呵を切ります。
帰りに他の友達と雄一は修介がいじめられてたのかなと話し合います。
修介の家に泊まりに行った時に母親が美味しいものを沢山食べさせてくれたのもいじめ対策じゃないかと友達は話します。


剣道部の先輩が卒業する日になりました。
練習がきつくなり「辞めようか、こんなの毎日やってられないっしょ」と呟きます。
帰りのコンビニで雑誌で沖縄の海を見て、みんなでお金を出し合いますが行けそうにありません。
駐車場で金持ちそうな男がポルシェに乗ろうとしているのを見て、「お前いけよ」と言い合っていたら他の学生達が来てその男に絡みだしました。
財布をカツアゲして蹴り倒し、ズボンの後ろのポケットに入っている封筒を取ると札束が入っていました。
みんなが修介がいないのに気付いて探していると、修介が学生の手から札束が入った封筒を奪って走り去って行きました。
学生達に追いかけられますがなんとか逃げ切ってみんなで夏休みに沖縄に行きました。

西表島で花火をしたり海で泳いだりしました。
海で修介が溺れて地元の女の子が人工呼吸してくれました。
車で移動中に事故現場に通りかかり、みんなで手助けします。
ボートに乗っていた時に修介は残りのお金を海に投げ捨てました。


「1999年夏、ノストラダムスの予言ははずれたけど、もし地球が滅亡していたら
夏休みのまま人生が終わっていたらそのほうが幸せだったかも」とフィリアは書き込みます。
「9月1日新学期あの日を堺に世界は灰色になった」


同級生の犬伏は茶髪で髪が長めで沢山ヘアアクセサリーを付けています。
他の生徒に髪を黒く染めろと絡んでいたので、修介が「お前が言えるのかよ」と注意します。
犬伏は馬鹿にした笑いをして、他の生徒にプロレスの技をかけようと机の上に立ちます。
それを修介は後ろから机を蹴り飛ばしました。
教室の女子達が叫び声をあげ、誰かが「あいつ刃物を持ってるぞ」と叫びます。
修介は無表情で倒れている犬伏に近付き手にしたカッターナイフで髪を切ります。
髪をまばらに切られた犬伏は水が張った田んぼを全裸で泳がされました。

廃車置場の車の中で仲間とタバコを吸っている修介に、雄一が「先輩が辞めるなら退部届出せって」と伝えて帰っていきます。
別の日、学校にこなくなった犬伏について教室でみんなは先生に意見を求められています。
修介は前の席の同級生と紙にこそこそ何かを書いて、隣の席にその紙を渡しました。
先生が紙を奪い取ると先生の似顔絵がバツで消され、処刑と書かれていました。


2000年14歳。灰色の時代。
雄一は友達2人と駅から同級生の女の子津田を尾行しています。
津田は電話で男性と話をしています。
「修介が津田のエッチな所をビデオに撮ったからもうあいつ逃げれない。」と友達は話します。
男性と会った後に津田はそのお金を渡しに来ました。
修介にそうしろと言われているからと一部を返すと津田は去って行きました。
津田を送っていけと言われた雄一は津田を着けていきます。
「あんたたかられてんだって?あげるよ。」津田がさっきのお金を雄一に投げ捨て蹴ってきます。
津田は落ちているお金を踏みつけ、川の中に入って泣きました。
ずぶ濡れの津田が家に帰っていくのを見届けると雄一も帰って行きました。

「僕にとってリリイだけがリアル。エーテルだけが生きている証。だけど最近エーテルが切れてきた。」
フィリアは青猫に何か話して欲しいと語りかけます。




校内合唱コンクールの練習をしています。
ピアノを弾いていた井沢が「久野さんに頼んで下さい。」と言うので、指揮者が久野に頼んでピアノを変わってもらおうとします。
しかし、神崎と数人の女子達は久野が弾くのが不満なようで文句を言います。
あげくに帰ると言って教室を出ていってしまいました。
他のみんなも騒ぎ出した所に先生が来たので「これはいじめだ」と相談します。
久野が「ピアノなしバージョンを作ってみた。」と楽譜を持ってきます。
次の日、神崎達にバージョンを変えてアカペラになったからと頼みに行きます。
本番の日、久野が俯いてピアノの横にただ立っているのを見て神崎はニヤニヤします。
雄一は横目で久野を見ます。

帰り道、雄一が歩いていると自転車に乗った佐々木に声をかけられました。
後ろに乗って帰りながらお互いに誰が好きかを話し合いました。
雄一は久野、佐々木は津田が好きです。
雄一は夜に津田に電話して、佐々木が話があると言いました。
津田は「佐々木は客なのか?最近男がみんな客に見えてきた。」言います。
電話を切った後、雄一に別の電話がありました。

翌日、雄一は久野を倉庫に連れていきました。
立ち尽くす雄一に後ろから来た神崎が「私って悪い女?」と声をかけます。
工場の中で修介達が久野を追い回し押さえつけます。
神崎は「ここってもともと星野の工場だったんだよ。会社倒産、一家離散そりゃ荒れるわ。」と話します。
久野が襲われて「怖いよ、痛いよ。」と叫びます。
神崎はそれを窓から覗き見て、雄一は1人で泣きます。

津田がホテルから走って出てきました。
雄一に「おやじが寝てたからお金を取ってきた。」と言います。
2人で豪華な食事をしながら、佐々木の話はどうだったか聞きます。
釣り合わないから断ったと聞いて雄一は驚きます。
「佐々木なら守ってくれる、逃げれるチャンスだったのに。」と雄一が言うと、「じゃああんたが守ってよ。」と津田が言います。
黙る雄一に久野が好きなんでしょと言います。
財布を盗んだ男性がやって来たので財布を返すとお金を握らされます。
帰ろうとする男性に津田は伝票を渡し、「すみません。」と小さく呟きます。

電車で2人でリリイ・シュシュのCDを聞きます。
降りてから津田に「一番新しいCD聞きたい、貸してよ。」と言われCDを渡しますが一番新しいのではありません。
津田は別れ際に「きっと大丈夫だよ、久野さん強い人だから。」と言います。


次の日、遅れて教室に入ってきた久野を見てみんなは驚きました。
ざんばらに刈られた坊主頭だったからです。

「死にたい。誰か連れ出して」フィリオは書き込みます。
「私もきっとあなたと同じ痛みの中にいるから」と青猫は書き込みます。


神崎達は星野をしめた方がいいと相談します。
津田は飛び降り自殺をします。
雄一は教室で嘔吐して保健室に運ばれました。
保健室のベッドに横になり先生に「音がする」と話します。
上着のポケットを先生に見てくれるように言い、先生がポケットから割れたCDを見つけると修介に割られたと話しました。


12月リリイ・シュシュのライブが行われました。
雄一が会場で列に並んでいると、後ろで男性が自分が好きな曲について熱心に語りかけていました。
列に並んでいる修介を見つけ雄一は目を反らしましたが、雄一を見つけた修介が側まで来ました。
熱心に話していた男性は腹を立てた他の客に絡まれて退場させられました。
修介は自分の席と雄一の席を比べて、雄一の席の方が良い席だったので無理やり交換しました。
修介は雄一にコーラを買いに行かせようとして、思い出して青い林檎を雄一の手に持たせました。
誰かに声をかけられたらその林檎を渡すように言いました。
その林檎にはメールアドレスが書かれていました。

「リリイのライブで会いましょう。目印は青林檎」と青猫は書いていました。
コーラを買って修介を見つけ手をあげると、修介は雄一に見えるようにチケットを掲げてました。
そして、チケットを丸めて投げ捨てどこかへ行ってしまいました。

雄一は会場の外で画面に映ったリリイを見つめます。
ライブが終わって客が会場から出てきます。
雄一を見つけた修介が「誰も声かけてこなかった?」と言って青林檎を奪って立ち去ります。
突然雄一は大声で叫び「リリイがいるぞ!」と言いました。
みんなその声に反応してそっちに行く中、雄一は修介の後ろに行きました。
修介が雄一を振り返るも倒れ、周りの人が大騒ぎする中雄一は立ち去りました。
雄一の手には血に染まったナイフが刺さった青い林檎がありました。


よく晴れた日、雄一はピアノを弾きました。
母親に髪を目立たない色に染めてもらいました。

2001年。15歳。
久野はまだ帽子を被っていて、ピアノを弾いていました。
音楽室でみんなが演奏しているのを外で聞いていた雄一は、みんなが出てきてから中に入りました。

掲示板では「あの日少年が死んだが犯人はまだ捕まっていない」と話をされています。
雄一はもう書き込まなくなっていました。


---------------------------------------
内容は暗くて重いかもしれませんが、映像が綺麗でとても良かったです。
せっかく同じ音楽が好きだったのに分かり合えずにみんなが苦しむようになるのは悲しいですね。
沖縄に行った所は何か伏線になるのかと思ったけど、大して関わりなかったのでそれならなんであんなに長いのかってなりますね…。

0 件のコメント:

コメントを投稿